アイルランド伝統音楽の魅力
私の場合はブルーグラスのルーツを辿っていくうちにBringing it all back home というCDに出会ったのが、アイルランド音楽に興味を持つ一つのきっかけになりました。若い世代では無印良品のお店でかかっているBGMやゲーム音楽からたどり着いた人、映画タイタニックの音楽やパンクロックからロックからたどり着いた人も多いようです。日本の民謡を思わせるシンプルながら複雑な修飾音のついた抒情的なエアーから思わず体を動かして踊りたくなるダンスチューンまで、さまざまなタイプの曲があるのが、アイルランドの伝統音楽が世代や国境を越えて愛好者を増やしている理由の一つだと思います。
これからアイルランドの伝統音楽を始める人に、練習のモチベーションを高めてもらえるように、この音楽の魅力を3つお伝えします。
1.国籍、性別、職業年齢の垣根を越えて仲間ができる。
アイルランドから遠く離れた日本でアイルランドの伝統音楽を学ぼうとする人はそんなに多くはいません。アイルランドでさえ、ロックが全盛だった頃には伝統音楽をやってた若者はいけてない存在だったようです。まして日本では... まだまだアイルランドの伝統音楽を演奏する人は少ないです。特に地方に住んでいたりするとマイナーな同じ音楽の趣味を持っている仲間は貴重ですよね。そういう人に出会えれば、一生付き合える仲間になれます。
アイルランドの移民が多く住むイギリス、アメリカの一部の都市ではアイリッシュのコミュニティがあり、アイリッシュの伝統音楽のセッションが盛んに行われています。インターネットの普及した現在ではお隣の韓国、中国、台湾でもアイリッシュの伝統音楽を楽しむ人が増え、セッションも行われているようですので、これらの国に行ったときにセッションに参加して友達を得ることもできますし、彼らが日本に来た時にもセッションに招いて交流することも可能です。
アイルランドの伝統音楽はメロディを弾ける楽器が一つあれば、伴奏楽器が無くても成立する音楽なので、一人で演奏しても十分楽しめます。セッションで大勢で演奏すれば、もっと楽しめますが、基本的には皆が同じメロディを一緒に弾くので、事前のパートの打ち合わせも要らないし、参加人数が多少増減しても全く問題はありません。
ブルーグラス、ロック、ジャズなど、バンドでの演奏が基本になっていて、バンドとしてのアレンジを究めていくのが一つの目標になる音楽の場合は仕事が忙しくなってバンド活動に参加が難しくなると、バンドを止めざるを得ないということになりがちですが、アイルランドの伝統音楽の場合は一合一会でセッションに参加した人で演奏する曲を決め、演奏を楽しみ、解散するという形なので、仕事が忙しいひとでも、無理なく長く続けられます。忙しいときには個人練習をしておいて、セッションに参加できるようになったらまた復帰すればいいのです。
3.いつからでも始められる
アイルランドの伝統音楽は自分達の楽しみのために演奏される音楽です。元々は農村で仕事の後の楽しみとして、あるいは収穫の後のお祭りのダンスの伴奏のための音楽として普通の人の間で伝承されてきた音楽です。もちろんステージでバンド編成で商業的に演奏される職業的なアイリッシュ音楽もありますが、彼らのルーツも伝統音楽にあります。彼らも地元に帰ればパブでセッションを楽しんでいます。セッションで演奏を楽しむことがゴールであれば、どんな年齢からでも始めることはできます。楽譜が読めなくても大丈夫です。コードを知らなくても問題ありません。50歳からでもはじめられます。一緒に楽しみましょう。
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